2016年8月8日月曜日

Mon oncle わたしの叔父さん



『ぼくの伯父さん』というジャック・タチの映画がありますが、今回は『わたしの叔父さん』について書こうと思います。

 私が育った千葉ののどかな町には、本屋さんが何軒もありましたが、いわゆる街の本屋さんで、珍しい本などは置いていませんでした。今はAmazonや楽天など、ぽちっとするだけで欲しい本が手に入る時代ですが、当時はそんなはずもなく、私はもっぱら小学館から出ていたミニレディーシリーズ(同世代の方は懐かしいはず!)を買うのを楽しみにしている少女でした。

 そんな私と妹に、当時大学生だった叔父が、帰省する際、東京の八重洲ブックセンターで本を買ってきてくれました。地元の書店には売っていない、美しい装丁の絵本や読み物。叔父が帰ってくるのが楽しみだったのを覚えています。

 そのとき買ってもらった本を思い出して挙げてみます。


 ピーターラビットの絵本シリーズ

                                                           

これは言わずと知れたピーターさん(池畑でないほう)の物語です。3冊組になっていて小さな版で作られていました。可愛いうさぎの物語だと思って読むと、意外にも皮肉だったり意地悪な部分もあったりして、(機関車トーマスにも通じる)子供だった私は「イギリスってあんまりいい国ではなさそうだな」(今は好きですが笑)という感想を持ったのを覚えています。以前会社勤めをしていた時に、イギリスの湖水地方(ピーターラビットのふるさと)にある会社の方にお会いしたことがあったのですが、「ああ、ピーターさん(池畑でないほう)の地元の方か~!」とすごく感動しました。

 つきのぼうや


 こちらも名作、つきのぼうやです。なんと言ってもこの本の形に、驚きました。長細いのですから。
ストーリーは空想の世界で、「そんなわけあるかいっ!」と突っ込みながら読んでいましたが、なぜかまた読みたくなる中毒性のあるものだったと思います。なんといっても、自分の本棚に入らなかったのを覚えています。でもこの判型のおかげで記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。長細い本、ということで。

ハイジ
画像はこちらからお借りしました
こちらは福音館古典童話シリーズの『ハイジ』です。分厚くて、立派なケースに入っていて、何やら仰々しい雰囲気の1冊でした。ハイジといえば、アニメでしか知らなかった私は、原作がこんなに長い物語で、挿絵もそんなに多くないということに愕然としました。小学校低学年には難しかったのだと思います。せっかくいただきましたが、読まずに長いこと本棚に入れっぱなしでした。

 中学生になって、自室で何もすることがない時に、ふと手に取って読み始めたら、とても面白くて驚いたのを覚えています。やはり童話は変に読みやすくするためにアレンジしたものよりも、原作翻訳の方がよいのかもしれません。

 昔読んだ『ああ、無情』の幼年版の最後が、「さて、ジャン バルジャンはこれからどうなるのでしょう。続きはみなさんが大人になってから読んでみてくださいね」と締めくくられていたことがあって(どこの出版社のかは忘れた)子供ながらに「馬鹿にすんな」と憤慨したのを覚えています。

 以上の他にも、きれいな写真集や、いままで聞いたことのない作者の物語を毎回の帰省に持ち帰ってくれた叔父。叔父の大学は北海道でしたが、東京経由で戻ってくる叔父は私にとって「東京の風を運びし者」といった風で、「東京」という極たまに連れて行ってもらうメガシティにいつか住んでみたいという気持ちを持ったきっかけとなった人物でした。

  親よりも影響力はないけれど、何かのヒントやきっかけをくれる存在がおじさん、おばさんではないかと思います。

 私も2人の姪たちにとっての「わたしの伯母さん」になりたいと思っているのです。


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