私が留学していた時代のアンジェという街には当時は中華はたくさんありましたが日本料理店は1軒もありませんでした。
なのでどうしてもご飯が食べたくなると、寮のキッチンで、フランス人学生たちから好奇の目で見られながら日本から送ってもらった米を鍋で炊き、簡単なおかずを作って食べるしかありませんでした。
そんななか、大学の構内に昼時にいつもサンドイッチやら菓子パンを売りに来るおじさんがいたのですが、そんな彼のスタンドにSandwich Surimiと手書きのメニューが貼ってあるのを発見しました。
SURIMI・・・。聞き覚えあるこの言葉。すり身?いや、そんなはずは。日本料理店さえないこの街で、すり身なんて日本語が通じるなんてあり得ない!!きっとそんなアラブ系食材があるんだろう、はたまたこれはフランス語で勉強不足の自分が知らないだけなのか!!焦る自分を落ち着かせながら、私は事実を確かめるべく、おじさんの前にのろのろと歩み寄り、尋ねました.
“C'est quoi, ce Surimi?" 「このSurimiっていうのは何ですか?」
「スリミじゃなくてシュリミだよ、シュリミ。知らないのか?魚で出来たケーキみたいなもんだよ」
「えっ?じゃあ日本のものなんですね?わ~驚いた!」
「いや、シュリミはフランスのもんだと思うよ~。よくわからんが。」
とにかく実際問題、これが何なのか。知りたくなった私はそのSandwich Surimiを買い、逸る気持ちを抑えて食べてみた。中から出てきたのはカニカマでした。
確かにカニカマはすり身で出来ている。そうか、君は海を渡って、よりプリミティブな名前になって頑張っていたのだね。
これはスーパーの広告 もうフランスの食生活に欠かせない存在です。
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それからたびたびそのサンドイッチを食べるようになった私でした。
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