何かフランス関係のアルバイトをしたいと思っていた私は、当時青山ツインタワーにあった老舗フランス菓子店、『アンドレ・ルコント』のキッチンでパッケージの仕事をすることにしました。ツインタワーの地下にあるキッチンの横にパッケージルームがあり、焼きあがったお菓子を、そこで様々なケースや箱に詰めたり、セロハンで包んだりする仕事です。
写真はこちらからお借りしました |
その当時、ルコントは青山の他に銀座と日本橋の三越、新宿伊勢丹にも支店があり、毎日とても忙しかったのを覚えています。
私の他に女の子が2人、朝出勤して昼休みを挟んで夕方まで、ひたすらお菓子を詰める日々。
パティシエの方たちが精魂込めて焼き上げたお菓子についた焦げを、すべて取り除き、割ったり潰したりしないよう丁寧に箱詰めしていきます。たまに新作の試食などさせてもらうのが嬉しくて。
アンドレ・ルコント氏は1968年に、日本で初めてのフランス菓子専門店を始めた方で、パティシエの憧れ的、神的存在の方。私がアルバイトを始めた頃にはもう鬼籍に入られていましたが、氏の意志を受け継ぐ職人たちが、日々素晴らしいお菓子を作り出していました。
それに比べ、フランス語を話せるぐらいで、手に職があるわけでもなく、何かを作り出せる創造性もない私。ならば、その作り上げたお菓子を、心を込めて美しくプレゼンテーションするのだ!と毎日同じルーティーン仕事の中でも頑張ろうと思っていました。
その仕事は今の仕事にも通じるものがある気がします。自分から何かを発信する側ではなく、何かを発信する人と、受け取る人の間に立ち、そのコミュニケーションをより良いものにすること。それが自分の仕事だと思っているからです。
ルコントは2010年に一度閉店しましたが、2013年広尾に再オープンしています。
久々にあの味を味わいにいきたいな~。
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